適性診断ということばには、答え終わると点数が出て、その点数で向き不向きが決まる、という像がついて回ります。採用サイトに置くとなればなおさらで、選考の前段に判定装置を置く話だと受け取られやすい。設問より先に外しておきたいのは、この像のほうです。
診断シミュレーションProに、点数を出す仕組みはありません。設問に配点を入れる欄も、合計を出す画面もない。点数を出す口は、開発している側の判断で最初から付けていません。返せるのは、回答の組み合わせが設定した条件に一致した結果コンテンツだけです。判定を返すのではなく、条件が合った案内を並べる。 採用の用途では、むしろそのほうが噛み合います。
この記事はその線引きから入って、応募につながる適性診断を設問・結果・導線の順で組み立てます。着地は合否ではなく、応募です。
点数は出ない。返るのは条件が一致した案内

分岐の持ち方が、点数方式とはそもそも違います。選択肢から結果へ線を引くのではなく、職種の案内のほうが「どの設問でどれを選んだ人に出るか」を抱えている。これを回答マトリクスと呼んでいます。抱えた条件をすべて満たしたとき(AND判定)だけ表示され、条件に入れなかった設問はその案内にとって「不問」になります。
差が出るのは、途中に計算があるかどうか。合計点で線を引くなら、どの設問に何点を割り振ったかがそのまま結果の根拠になります。応募者に「なぜこの評価なのか」と聞かれたとき、その配点を説明できるでしょうか。条件一致なら、根拠は「この設問でこれを選んだから、この職種の案内を出した」の一行で済む。
境界も引いておきます。選考で使われる適性検査の多くは、心理測定の手続きを踏んで尺度を作った道具です。サイトに置く診断はその代替にならず、代替のつもりで設問を作れば、裏づけのない判定を配ることになる。作るのは応募を迷っている人のための入口までです。
結果の見出しは、タイプ名ではなく職種名にする
同じ内容でも、結果の一行目で受け取られ方が変わります。「あなたは◯◯タイプです」と書けば判定に見え、「まずは営業職のページを見てみてください」と書けば案内に見える。採用サイトなら後者に寄せておくほうが、あとの説明が要りません。
結果に置いていいのは、職種・部署の紹介、その仕事の一日の流れ、社員インタビューへのリンク、募集要項、説明会やカジュアル面談の案内あたり。逆に持ち込まないのは、優劣を含んだことばです。向いていない、適性がない、A判定・B判定といった段階の表現。ひとつでも混ざると、その診断は選考の前哨戦として読まれます。
設問の側にも同じ配慮が要ります。厚生労働省が公正な採用選考の考え方として示しているのは、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を応募者から把握しないこと。診断という体裁でも、採用サイトの中に置けば同じ目で見られます。年齢・家族・出身といった属性を設問にしないのは、その線を踏まないためでもあり、職種の案内に使えない情報だからでもあります。
もうひとつ、入口に一文を。「結果は選考には使いません」が先に見えていれば、身構えずに答えてもらえます。診断の枠は1問目から始まるので、書く場所はショートコードを貼ったページの本文です。
設問は、仕事の中身のほうから聞く
性格を測ろうとすると設問は抽象的になり、抽象的な設問は職種に結びつきません。聞くのは、その会社の仕事の中身と噛み合う軸だけにします。3問ならこのくらい。
- Q1 一日の大半をどんなふうに過ごしたいか(人と話す/手を動かす/数字や文章と向き合う)
- Q2 進め方の好み(決まった手順を磨き込む/自分で段取りを組む)
- Q3 入社してまず身につけたいこと(専門スキル/現場での対応力/チームをまとめる力)
条件はここから逆に引きます。営業職の結果はQ1で「人と話す」が選ばれたときだけを条件にして、Q2とQ3は不問。生産技術の結果はQ1が「手を動かす」かつQ2が「手順を磨き込む」の2つを条件にする。設問を増やすより、結果ごとに見る設問を変えるほうが効きます。
設問を積むほど精度が上がる気がしますが、増えるのは条件の細かさのほうです。しかも設問が1つ増えるたび、職種ごとに「この設問を条件に入れるか、不問にするか」の判断も職種の数だけ増える。3問なら、どの職種がどの設問を見ているかを1枚の表で見渡せます。足したぶんだけ、その見通しは薄れる。
当てはまる職種が2つ出ても、絞らないほうがいい
当てはまった案内が2件あれば、2件とも並びます。「◯件の結果が見つかりました」という件数の表示も一緒に出るので、2つ返ってきたことが不自然に見えません。ページ遷移は挟まず、最後の設問に答えたその場に出ます。
採用ではこれが効きます。応募先を1つに決めさせる必要はどこにもなく、営業職と企画職の両方を見てもらえるなら、そのほうが応募の可能性は残る。並ぶ順番は結果ごとの表示順の値で決まるので、いま採用を強めたい職種を先頭に置くこともできます。
代わりに気をつけるのは空振りです。条件をきつく付けすぎると、最後まで答えたのにどれにも当たらない組み合わせが生まれます。受け皿を1つ置いて、全職種の一覧と募集要項へ送っておくのが安全。その受け皿にも条件は要ります。条件欄を空のままにした結果は「全員に出る」ではなく「判定に出てこない」なので、どれか1つの設問で選択肢を全部チェックしておく。結果そのものの分け方をもう少し詰めたいときは、タイプ診断の作り方のほうが具体的に書いてあります。
応募までを、結果の中で終わらせる

結果の中身は、通常の投稿と同じブロックエディタで組みます。見出しも画像も、職種ページへのボタンも、Contact Form 7 のエントリーフォームも、そのまま結果の中に置ける。連携設定をオンにしなくても表示・送信できます(Contact Form 7 は6.0以上。CF7側が要求するWordPressは版で変わり、6.0系は6.6以上、6.1系は6.7以上)。
hidden項目に職種名を入れておけば、どの案内から届いた応募かが管理者宛メールに残ります。この組み方は診断結果から問い合わせにつなげる設計にまとめました。
フォームの重さだけは調整してください。3問答えた直後に履歴書のアップロードまで求めると、そこで止まります。ここで受けるのは説明会の申し込みかカジュアル面談の希望くらいに絞り、正式なエントリーは採用管理システム側へ送る。
誰がどう答えたかは残らない
集計はセッション単位で、名前もメールアドレスも保存しません。応募者ごとの回答を後から開く画面はありません。 見えるのは全体の数字と分布だけで、データは外部の解析サービスへ送らず自社のDBに溜まります。どこまで見えてどこから見えないかは個人情報を保存しないまま診断の効果を測るに書きました。
採用では、これは制約というより前提です。回答を選考に持ち込めない状態でしか、「選考には使いません」と書けない。面接で参照したい情報があるなら、診断の裏で拾うのではなく、エントリーフォームで本人に書いてもらう形にします。
募集が変わったら、直すのは結果の側
採用サイトの診断が古びるのは、たいてい募集の更新に引きずられたときです。職種が増える、部署の名前が変わる、その年は募集しない職種が出る。ただ、直しに行く場所はほとんど結果コンテンツの側で済みます。
- 職種が増えた … 結果コンテンツを1本足して条件を付ける。設問は触らない
- 名前や中身が変わった … 結果は通常の投稿と同じように編集できる。条件は無傷のまま
- その年は募集しない … その結果コンテンツを下書きに戻す。判定の対象になるのは公開済みの結果だけなので、条件を消さずに引っ込められる
設問そのものに手を入れるのは、聞く軸が変わったときだけ。並べ替えなら安定IDのおかげで条件は生きたままですが、選択肢の削除だけは条件が道連れになるので、消す前に使い道を確かめる順番にします。
新卒と中途で分けたいなら、設問セットを複製すれば設定ごと引き継げます。検証環境で組んで本番へ移すならJSON設定やデータを受け渡すためのテキスト形式。メモ帳でも開けるが、Excelで表として開くものではなく、主にツール同士のやり取りやバックアップに使う。の書き出しと読み込み。この段取りは似た診断を複製して量産するにまとめました。年度が変わるたびに一から組み直さずに済む形にしておくほうが、採用サイトの診断は続きます。
点数はつけないまま、見るべき職種まで案内する——採用サイトに置く適性診断は、それで足ります。何ができて何ができないかの線は、診断シミュレーションProの製品ページに動作環境(WordPress 6.0以上/PHP 7.4以上)ごと並べてあります。
