診断コンテンツとは何か — アンケートやフォームとの違い

診断コンテンツは、アンケートやフォームとほぼ同じものとして扱われがちです。設問を並べて答えてもらう見た目は、確かにそっくり。けれど作り始めると別の生き物で、途中でそれに気づいて組み直しになることがあります。

診断コンテンツとは、回答を集めるために作るものではなく、答えた人にその場で答えを返すために作るものです。 向きが逆なだけと言えばそれまでですが、この一行の違いで、用意する原稿も、設計の順番も、公開後に見る数字も変わってきます。

この記事は、その違いをアンケート・フォームと並べて整理して、どういうときに診断という形が噛み合うのかまでを書きます。WordPressでどう作るかという手順ではなく、その手前にある物差しの話です。

目次

集めるための仕組みか、返すための仕組みか

アンケートの本体は、送信ボタンを押した先にあります。回答が管理者に届き、集計され、運営側の判断材料になる。答えた人の用事は、送信した時点で終わります。

診断はその逆で、送信のあとに読者の用事が始まります。「あなたに向いているのはBプランです」「この症状なら先に確認したいのはここです」といった案内が返ってきて、それを読むところまでが診断コンテンツの中身。回答データはおまけ、と言うと乱暴ですが、少なくとも主役ではありません。

だから、診断を作るときに最初に要るのは設問ではなく、返す答えのほうです。設問だけ立派で結果が一行しかない診断は、答えた人からは「時間を取られただけのアンケート」に見えます。

終わったあと、誰の手元に何が残るか

違いを短く言うと、成果物の置き場所が違います。アンケートの成果物は運営側に残る集計表で、診断の成果物は読者が持ち帰る一言。

これは機能の差ではなく目的の差なので、ツールを変えても埋まりません。Googleフォームのようなアンケートツールは、速く集めることについては非常に強い。ただし答えた人へ返す部分は守備範囲の外なので、そこを足そうとすると別の仕掛けが要ります(線引きの具体はGoogleフォームとWordPress診断の違いに書きました)。

この目的の差は、聞く量にも効きます。アンケートは項目が多いほど分析の材料が増えますが、診断は設問を増やしても返せる答えが精密になるとは限らない。答える手間だけが増えて、最後まで進んでもらえなくなるほうが起きやすいです。診断の設問は、返す答えを分けるために必要な数だけあれば足ります。

フォームの条件分岐で代用すると、出口で詰まる

アンケート・フォーム・診断で、答えたあと何が残るかの違いを並べた図

条件分岐が使えるフォームプラグインを持っているなら、それで診断も作れるのでは——という話はよく出ます。設問を出し分けるところまでは、実際そのとおりに作れる。詰まるのは出口です。フォーム系の分岐は入力項目を出し分けるための機能なので、返せるのは短いテキスト止まりになりがちで、結果に画像やボタンを組みたくなったあたりから苦しくなります(どこから管理が崩れるかはContact Form 7だけで診断は作れるか、手段ごとの得意不得意は診断プラグインの選び方にあります)。

定義としては、ここに線を引いておきます。結果を作り込めない仕組みで作ったものは、見た目が診断でも中身はアンケートのままです。 どちらが優れているという話ではありません。フォームは集めるための道具、診断は返すための道具。用途が違うだけです。

返す側から作るので、設問より結果のほうが先に要る

結果の原稿、条件設定、逃げ道の共通結果、通し確認という作る順番の図

診断づくりは、結果の原稿を書くところから始まります。順番を逆にすると、設問は並んだのに何を返すか決まっていない状態になり、そこで手が止まる。

作っている側の事情を明かすと、診断シミュレーションProで分岐を「選択肢を選んだら結果へ線を引く」形にしなかったのは、この順番に合わせたかったからです。結果コンテンツのほうに表示条件を持たせておく(回答マトリクス)。そうすると、返したい答えを先に書き上げてから「この人に返す」という条件をあとで足していける。設問が固まらないと結果に取りかかれない、という詰まり方をしなくて済みます。

代わりに面倒もあります。条件を細かく付けすぎると、最後まで答えたのに一つも該当しない組み合わせが生まれる。ここで一つ注意があって、条件を何も設定していない結果は、全員に出るのではなく判定の対象から外れます。 空欄=無条件と読むように作らなかったのは、条件を入れ忘れた結果が全員に表示されるほうが事故として重いからです。逃げ道用の共通結果を置くなら、どれか1つの設問で選択肢を全部チェックして「必ず一致する条件」を作ることになります。公開前に、どんな回答をしても何かは返ってくるかを自分で一度通しておく——順番としては、これが最後の作業です。

返す答えそのものをどう分けるかはタイプ診断の作り方のほうが具体的です。

向いているのは、選ぶ材料が多すぎて決められない場面

診断という形が効くのは、読者の側に「情報はあるのに決められない」状態があるときです。商品やプランが並んでいて違いも説明されているのに、自分がどれなのか分からない。症状や悩みの解説はいくつもあるのに、自分がどれに当てはまるか判断できない。こういう場面では、3問答えれば候補が絞れるほうが親切です。

具体的には、商品・プランのレコメンド、タイプ判定、お悩みや症状のチェック、商談前の事前ヒアリング、料金の目安を絞り込む用途あたりと噛み合います。共通しているのは、選択肢が多く、かつ人によって正解が違うこと。

逆に向かないのは、返す答えが一つしかないときです。誰が答えても同じ案内になるなら、診断にせず本文で書いたほうが早い。回答の明細を一件ずつ溜めて名簿として使いたい場合も、それは診断ではなくフォームの仕事です。金額をその場で四則演算する本格的な計算機も、条件で結果を出し分ける仕組みとは別物になります。

「診断マーケティング」に期待していいことと、約束できないこと

診断コンテンツは集客文脈で語られることが多く、「診断マーケティング」という呼び方もされます。期待されているのは、読むだけの記事より参加してもらいやすいこと、そして答えた直後の温度が高いところに次の行動を置けること。ここまでは仕組みとして説明がつきます。

一方で、問い合わせが何割増えるといった数字は、商材にもサイトにも設問の作りにも左右されます。自社の製品ページでもスキンケアの3問診断を例に仕組みを説明していますが、よそのサイトに当てはめられる汎用の数値として出せるものは持っていません。診断を置けば成果が出るのではなく、返す答えが的確で、その先の導線がつながっているときに効く。それ以上のことは言えない、というのが正直なところです。

だから公開後に見るべきなのは、回答が何件集まったかより、途中で離脱されている場所と、どの結果ばかりが出ているか、のほうになります。アンケートの見方とは違う数字。ここでも基準は「集める」ではなく「返す」側にあります。

診断という形が自分の用途に噛み合いそうなら、WordPressで作る手段はいくつかあります。設問と結果を管理画面だけで組み立てて、ページ遷移なしでその場に結果を返す作りにしたのが診断シミュレーションProです。何ができて何ができないかは、そこに一通り書いてあります。

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