採用ページの地図は、作った日より、作ったあとのほうが長く付き合うことになります。募集が1件終わるたびに地図を開き直す作りにすると、更新はどこかで必ず止まる。止まった地図に残るのは、募集していない県が押せるままの状態です。募集が変わったときに何を1回直せば正しい状態に戻るか、そこを先に決めてから塗り始めます。
WordPressで勤務地を日本地図から選ばせる方法を、その運用の側から書きます。使うのは県を単位にした都道府県マップ。地図から求人へ送る導線を作りたい採用担当・制作担当の方に向けた内容です。
勤務地は点で、対応エリアは面
同じ「エリアを地図で見せる」でも、採用は他の業種と単位が違います。
不動産の取扱エリアや工務店の施工範囲は、面の話です。どこからどこまで行けるかを塗るので、市区町村まで下りないと実態と噛み合いません。市区町村を選んで塗る側の作り方は市区町村単位のクリック地図にまとめてあります。
採用は違います。勤務地は住所の決まった点で、そこに「募集しているか、していないか」しか状態がない。神奈川県の全域で募集しているわけではなく、横浜のオフィスで募集している。そして読者が地図に求めているのも範囲ではなく、自分が通える場所に募集があるかの一点です。県の粒度で足ります。
業種ごとにどちらの型を選ぶかの並びは業種ごとの見せ方の違いで整理しました。ここから先は都道府県マップ1本で進めます。
押せる県と、募集がある県を一致させる
都道府県マップには、採用と噛み合う性質があります。リンクを設定した県だけがクリックできる。 設定していない県は押せず、マウスを乗せてもカーソルの形が変わりません。色を塗っただけでは押せるようにならない、という作りです。
採用に当てはめると、リンクの有無がそのまま募集の有無になります。募集のある県にURLを入れ、止めた県は空にする。訪問者から見れば、押せる県がそのまま募集中の県。凡例で意味を説明する手間も要りません。
ここで手が伸びがちなのが県名ラベルです。県ごとに表示名を上書きできるため、「東京(募集中)」のように状態を文字で書きたくなる。ここはやめておいたほうが無難です。都道府県マップのラベルは決まった大きさで県の上に置かれるだけで、隣とぶつかったときに縮める・ずらすといった調整は入りません(その調整が入るのは市区町村マップのほうです)。文字を増やせば、増えたぶんだけ素直に隣の県へはみ出します。
数えてみると分かりやすい。全国表示の座標系では1文字ぶんの幅がおよそ4、大阪府の本島部分は横幅がおよそ25です。「大阪(募集中)」の7文字は、それだけで府の幅を超えます。入力欄の上限は24文字ですが、上限まで使える場所はまずありません。状態はリンクの有無と色に持たせて、ラベルは県名のまま置くほうが崩れません。
色も2色までに抑えると読み違いが減ります。募集中の県と、それ以外。3色目が要ると感じたら、それは地図ではなく本文で書く情報かもしれません。
前提をひとつ。全国モードの地図に沖縄は描かれません。 そうなっている理由と、沖縄を出したいときの回り道は沖縄と離島の表示にまとめてあります。採用の文脈でいえば、沖縄に事業所があるなら地図の下の勤務地一覧で拾っておくのが現実的です。
地図の行き先は、求人票より一段上に置く

県のリンク先をどこにするか。運用の分かれ目はここです。
求人票そのもの、つまり1件の募集ページを指すと、その募集が終わった瞬間に地図のリンクが宙に浮きます。締め切ってページを消せば404、下書きに戻せば見えないページへの導線。募集が1つ終わるたびに地図を開く運用になります。
県別の求人一覧ページを1枚かませておくと、募集が入れ替わっても地図側は動きません。 「東京の求人一覧」へ送っておけば、中の求人が3件から1件に減っても増えても、URLは同じまま。地図に手を入れるのは、その県の募集がゼロになったときだけになります。求人をカスタム投稿タイプ「投稿」「固定ページ」とは別に用意する独自の投稿の種類。物件・店舗・用語のように同じ形の情報を、通常の記事と混ぜずに管理する。で持っているならタームのアーカイブ、固定ページで運用しているなら県ごとの一覧ページ。どちらでも構いません。
県の行に置かれているのは、URLの入力欄です。サイト内の投稿や固定ページを検索して選ぶ方式は、この後に出てくるポップアップの項目にだけ用意されています。つまり県のリンクは、貼ったURLの文字列がそのまま残る。求人一覧のスラッグURLの末尾に使う、投稿やカテゴリーごとの英数字の名前。このサイトなら plugear.net/wordpress-japan-map/ の「wordpress-japan-map」の部分。を変えれば、地図側を直す番が回ってきます。県を塗るのは一覧ページのURLを決めたあと。順番をこう置いておけば、手戻りは起きません。
募集を止めるときに触るのは、その県の行だけ

運用が始まってからの手数を短くしておきます。
募集を止めた県は、「都道府県の選択 / 上書き」タブでその県の行を開き、リンク欄を空にする。県の行は8地方ごとに畳まれているので、関東を開いて東京を探す形になります。色を規定色へ戻すかどうかは見せ方しだい。事業所はあるが募集はしていない県なら、色を残したまま押せない状態にしておくと「拠点はある」ことだけが伝わります。再開したら同じ行にURLを戻すだけ。
地図を作り直す作業は、どこにも発生しません。この1行で済むことの効き目は、公開初日ではなく3回目の更新あたりで出てきます。
設定はマップの投稿1件に入っているので、同じ地図を採用トップと会社案内の両方に貼っていても、直す場所は1つです。
公開前に一度、募集を止めた県のリンクを空にして保存し、公開ページでその県が押せなくなるかを試しておくと安心です。
1県に拠点が並び始めたら、地図ごとポップアップへ切り替える
県への直リンクで足りるのは、1県につき送り先が1つのときです。東京に3拠点、大阪に2拠点と増えてくると、「東京を押したらどの事業所へ飛ばすのか」が決められなくなります。
県別の求人一覧を挟んでいれば、この行き詰まりはかなり先送りできます。それでも足りなくなったら、全国を地方ごとに区切る表示へ変えて、地方をクリックしたときに小窓(ポップアップ)を開く形にする。並べる項目の表示名は県名に縛られないので、社内で呼んでいる事業所名のまま置けます。この小窓の項目に限っては、サイト内の求人ページを検索して選べます(選んだページはIDで参照されるので、パーマリンク投稿や固定ページごとの固定URL。WordPressでは「設定 > パーマリンク」でURLの形式を決め、個々の末尾(スラッグ)は編集画面で変える。を変えてもリンクは切れません)。設定の流れは店舗一覧をポップアップから選ばせる作りと同じなので、そちらへ譲ります。
切り替えの粒度だけ、先に知っておいてください。直リンクとポップアップはマップ1枚ごとの設定で、地方ごとに混ぜることはできません。ポップアップ側へ倒せば、どの地方を押しても開くのは小窓になります。ただし項目を入れなかった地方は、その地方の県に貼ったリンクから一覧が自動で組まれます。拠点が1つしかない県まで項目を書き起こす必要はないし、全地方ぶんを埋めてから公開する、という縛りもありません。
求人票を直すついでに終わる分量へ畳んでおく
採用サイトの地図が古びるのは、地図が難しいからではなく、募集の更新に地図が付いてこないからです。リンクの有無で募集の有無を表し、行き先を県別の一覧へ寄せておけば、地図に対する作業は「URLを1つ入れる、または消す」まで縮みます。求人票を触るついでに終わる分量まで落としておく。設計としてはそこが目標です。
地図を載せるページには、出典の一文が要ります。国土交通省「国土数値情報(行政区域データ)」を加工して使っているためで、プラグイン側からは自動で出ません。採用ページのフッターに1行置けば済みます。
設置は、保存したときに振られるマップIDを採用ページに1行貼るだけです。
[plg_jcm_map id="マップID"]
id に入れるのは、いま作った都道府県マップの投稿IDです。ブロックエディタで書いているなら、「クリッカブル地図」ブロックから同じマップを選んでも置けます。募集の増減に付いてくる地図を管理画面だけで作るところは、クリッカブル日本地図で完結します。
