日本地図は一部の県だけ表示していい — 商圏が狭いサイトの地図の作り方

事務所はひとつ、対応できるのは県内と隣県の数市まで。そういうサイトに日本地図を置こうとすると、たいてい最初の一手で止まります。全国を描いても色が付くのは端の一県だけで、あとは真っ白。これに何の意味があるのか、と手が止まる。

全国を出す必要はありません。都道府県マップには表示する県を選ぶモードがあり、選んだ範囲に合わせて地図が拡大されます。というより、マップを新規追加した直後に選ばれているモードは「選択した県のみ」のほう。全国47都道府県は、そこから切り替えて使うものです。一県だけ、あるいは隣り合う二、三県だけの地図でも、それで一枚として成立する。

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全国を出すほうが、対応範囲は伝わりにくい

直感とは逆かもしれません。全国地図は「日本のどこにあるか」を伝える図であって、「この住所は範囲内か」を伝える図ではない。 全国の縮尺では県内の市の位置まで読み取れないので、県をひとつ塗っただけの地図から訪問者が受け取るのは「たぶん遠い」という印象だけになります。

読み手が知りたいのは、自分の住む市が入っているかどうか。それだけです。であれば、地図の枠を商圏に合わせて切ったほうが情報の密度は上がります。県を一つ大きく出せば市の位置関係が見えるし、隣県の一部まで含めるなら、その二県を並べた図でちょうどいい。全国の白い余白は、実は何も語っていません。

表示する県を選ぶと、地図はその範囲に寄る

モードの切り替えは編集画面のいちばん最初のタブにあります。「選択した県のみ」を選ぶと県の一覧が出るので、見せたい県にチェックを入れる。それだけで地図は選択した範囲に合わせて拡大され、こちらで拡大率や位置を調整する必要はありません。二県、三県と足したときも同じで、選び直すたびにプレビューの枠が引き直されます。

あとは色とリンクだけ。規定色を決めてから必要な県だけ上書きする二層の作りなので、一県の地図なら塗る対象はほとんどありません。そしてリンクを設定した県だけがクリックでき、設定していない県は押せずカーソルも変わらない。この仕様は範囲を絞った地図でよく効きます。隣県を参考として枠内に入れておいても、押せるのは自分の対応県だけ、という状態が手間なく作れるので。隣県を「要相談」のように色の意味を分けて見せるなら、「凡例エリア」タブでエリアを定義して県を割り当てると、地図の下に色と名前の凡例が出ます。どのエリアにも入れなかった県が地図に残っていれば、規定色の「その他」行が自動で添えられるので、色の意味は凡例だけで読み切れます。

設置のしかたはモードで変わりません。保存したマップを「クリッカブル地図」ブロックから選ぶか、ショートコード [plg_jcm_map id="マップID"] を貼るか。どちらでも同じ地図が出ます。

県境をまたぐ商圏は、県単位だと粗すぎる

隣県の一部だけが商圏、というケースは珍しくありません。県単位で塗ると対応していない地域まで塗ることになり、実態とずれる。ここは都道府県マップの限界で、答えは粒度を落とすことになります。市区町村単位の地図なら県をまたいで自由に市区町村を選べますし、政令指定都市は区が単位です。「県内全域+隣県はこの3市だけ」が、そのまま図になる。

ただし市区町村マップのほうに全国モードはありません。 選んだ市区町村だけを描く作りなので、狭い商圏の提示とは相性がいい反面、「全国のうち対応地域はここ」を示す用途には使えない、という線引きになります。

一県に寄せたときに、はじめて意味を持つ設定

範囲を絞ったときだけ効く離島の表示・精細度・最大幅の3つの設定を並べた図

範囲を絞ると、全国モードには出てこない設定が顔を出します。付属の離島を描くかどうかの切り替えがそれ。全国表示のほうは常に本土だけを描く作りなので、この項目自体が画面に現れません。トグルを範囲モード側にだけ置いたのは、全国の縮尺だと離島の有無が絵としてほとんど差にならないからです。どの県で効くのか、市区町村マップとの違いまで含めた整理は沖縄と離島の表示にあります。沖縄も同じ側にあって、全国表示では沖縄そのものを描かないため、沖縄の地図は範囲モードで作ることになります。

もうひとつ、範囲を絞ると海岸線の粗さが目に付きやすくなります。精細度は高精細・標準・簡略・簡略(なめらか)の4段から選べて、初期値は高精細のほう。全国地図の見た目を軽くしようとして簡略側へ落としてあると、一県を大きく出したときにそのカクつきが出てきます。気になったら1段上げて試してみるのが早い。最大幅も px か % で指定できるため、本文カラムに対して大きくなりすぎるときはそこで抑えます。

「全国を出して数県だけ塗る」とは別の判断

全国モードと範囲モードで、描く範囲と伝えられる内容の違いを比べた図

似た話に見えるので、分けておきます。クリックできる日本地図の作り方では「47都道府県を全部作り込まなくていい」と書きました。あれは全国地図を出したうえで、色とリンクは必要な県にだけ与えればいい、という中身の話。こちらは、全国という枠そのものを出さない選択です。

どちらを取るかは、伝えたいことで決まります。「全国のうち、いまはここに進出している」を見せたいなら、全国モードのまま数県を塗る。日本のどこかを示す文脈が要るからです。対して「うちが行けるのはこの範囲」を伝えたいだけなら、全国の枠は情報を薄めます。進出状況を語るのか、対応範囲を語るのか。分岐点はここ。

商圏が地図一枚に収まるなら、範囲モードで足りる

当てはまりやすいのは、こういうサイトです。

  • 一事務所で県内を担当する士業。相続・登記・許認可のように、対応が県単位で語られる仕事
  • 店舗がひとつの飲食・整体・美容・教室。集客範囲が市内や沿線に収まる
  • 地域密着の工務店・リフォーム・不用品回収など、出張距離が実務の制約になる業種

共通するのは、全国の中での位置づけを語る必要がないこと。むしろ「県内ならどこでも伺います」「この3市は即日、隣接市は要相談」といった具体を、地図の縮尺そのもので示せます。狭い商圏は、地図に向かない条件ではありません。全国図を前提にしたときだけ、向かないように見えるだけ。

ここでは範囲の広さで切りましたが、業種ごとに都道府県マップと市区町村マップのどちらを軸にするかは業種別の見せ方で整理しています。

ひとつ忘れやすい点として、範囲を絞っても地図データが国土交通省の国土数値情報由来であることは変わらないので、出典の一文はページに要ります。一県だけの小さな地図でも同じ。

商圏に合わせて範囲を切った地図は、管理画面だけで作れます。全国地図が前提だと思って諦めていたなら、クリッカブル日本地図の範囲モードから見てみてください。

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