WordPressで市区町村単位のクリックできる地図を作る

「対応エリアは県全体ではなく、この市とこの区まで」。配達や施工、出張、地域密着のサービスだと、都道府県の地図では粗すぎる場面がよくあります。隣県にまたがって商圏が広がっていることも珍しくありません。この記事は、県より一段細かい市区町村単位でクリックできる地図をWordPressで作りたい人に向けて、どこまでできて、どこで手が止まりやすいかを書きます。

市区町村まで踏み込んだクリック地図は、無料の地図素材やイメージマップではまず手に負えません。市区町村単位の地図を扱えるプラグイン(ここでは Japan Clickable Map を例にします)を使うのが現実的です。

目次

市区町村は約1,900件、政令市は「区」が単位

まず粒度の話をしておくと、ここが県の地図といちばん違うところです。市区町村は JIS X 0402(5桁のコード)を基準に約1,900件(厳密には1,898件)あります。そして政令指定都市は市ではなく「区」が単位です。たとえば横浜市鶴見区は 14101、札幌市中央区は 01101 という具合に、区ごとに別のパーツとして扱えます。

「市まで選べればいい」と思っていても、実際に商圏を描こうとすると「横浜市の中でもこの区だけ」という細かさが要る場面は意外と多い。区単位で持っているのは、地域密着のサービスにとってはかなり効いてきます。

全市区町村を登録しなくていい。必要な分だけ選ぶ

1,900件と聞くと身構えますが、全部を登録する作りではありません。 むしろ逆で、必要な市・区だけを選び、選んだ範囲に地図が自動でズームします。全国の市区町村を一括で塗り分けるモード(県地図でいう full のような全国モード)は市区町村側にはなく、選んだ分だけ描画するのが基本です。

選び方は、編集画面の「市町村の選択 / 上書き」タブで行います。47都道府県がタブで並んでいて、県タブを切り替えながら検索ボックスで市区町村を絞り込んで選ぶ流れです。検索は今開いている県の中が対象なので、別の県の市を足したいときはその県タブに移ります。県をまたいだ選択ができて、タブを切り替えても選択は保持されます。上部に「選択中 N 件」と件数が出るので、入れすぎや入れ忘れにも気づきやすい。

実務的には、ここでいきなり全エリアを完璧に揃えようとせず、まず対応エリアなど範囲を絞って1枚作るのが現実的です。件数が多いぶん、欲張ると選択と色付けだけで疲れます。

規定色+エリアで「塊」を作り、凡例で意味を伝える

色は、地図全体の規定色を決めてから、必要な市区町村だけ上書きする二段構えです。これは1件ずつ塗る作業を減らすためで、県の地図と同じ発想です。

そのうえで市区町村マップには「エリア」という機能があります。複数の市区町村を1つの塊として、同じ色と同じリンクでまとめて見せるためのものです。「配達エリア」「対応地域」のように名前と色をつけてエリアを定義しておき、各市区町村の行でそのエリアを選んで割り当てます。ひとつ知っておくと迷わないのが、エリアの定義(名前と色を作る場所)と、市区町村への割り当て(各行のドロップダウンで選ぶ)が別タブに分かれている点です。1つの市区町村が属せるエリアは1つだけ、と考えておくと整理しやすい。

塊で色分けしたら、凡例を地図の下に出せます。「緑=対応エリア/灰=対象外」のように、色が何を意味するかを言葉で添えられるわけです。凡例は実際に使われているエリアだけが並ぶので、定義しただけで使っていないエリアが余計に出る心配はありません。

ラベルや境界線も調整できる

細かい地図ほど「どの市区町村か」が分かりにくくなるので、見せ方の調整が要ります。市町村名のラベルは表示のオン・オフだけでなくサイズも変えられますし、政令市の区はフル名で表示する設定もあります。区がたくさん並ぶ地図だと、略称より「横浜市鶴見区」と出たほうが読み手は迷いません。区切りの境界線(隙間)の太さも調整できるので、隣り合う市区町村が詰まって見えるときに広げられます。このあたりは「県地図にはあるけど市区町村には無いだろう」と思われがちですが、実際にはどちらも調整できます。

設置と、後から効いてくる注意点

設置はショートコードを1行貼るだけです。マップを保存するとそのマップ固有のIDが振られるので、固定ページや投稿にこの形で置きます。

[jcm_map id="マップID"]

id には自分が作った市区町村マップのIDを入れます。このショートコードは都道府県マップと市区町村マップで共通で、どちらかはサーバー側が自動で判別します。ブロックエディタなら「クリッカブル地図」ブロックから対象のマップを選ぶだけでも置けます。

リンクの貼り方は都道府県マップと少し勝手が違います。市区町村の基本のリンクはURLを直接入力する方式です。サイト内の投稿や固定ページ、カテゴリーをID参照で選ぶ仕組みは、都道府県マップのポップアップ側にある機能で、市区町村マップにはありません。そもそも市区町村マップにポップアップ自体がなく、色が何を意味するかは凡例で伝える作りです。離島の表示切替も都道府県マップ専用なので、市区町村側にはありません。このあたりを先に押さえておくと、県地図と混同しません。

もうひとつ、運用してから効いてくるのが市町村合併です。合併で廃止された市町村コードは、保存時に警告として表示されます。 ただし新しい自治体への自動移行まではしてくれないので、警告が出たら廃止コードを外し、統合先を選び直す、という手当ては自分で必要です。一度作って放置できるものではない、と最初から思っておくと慌てません。

出典表記だけは忘れずに

運用面でもうひとつ。地図データは国土交通省「国土数値情報(行政区域データ)」を加工したもので、出典を明示すれば商用でも使えます。ただしその出典表記はプラグインが自動では出さず、サイト運営者が地図のあるページに自分で書く決まりです。

「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)を加工して作成

市区町村単位でクリックできる地図は、ほかのツールではなかなか提供されていません。県より細かい粒度で対応エリアや商圏を見せたいなら、まずは関わる市・区だけを選んだ1枚から試せます。詳しい機能や料金は Japan Clickable Map の製品ページにまとめています。

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