専門用語が出てくるたびに解説記事へ内部リンクを張る。用語集ページを一枚つくって、そこへ飛ばす。筋は通っているし、SEO上「用語ページ」を資産として持てる利点もある。ただ、読者の動きを追うと、このリンクが本文からの出口になっていることが少なくない。
読者は説明を読みに別ページへ移る。読み終えたところで、元の記事へ戻る動線は本人の「戻る」意志だけに頼っている。戻ってこない人がいる。用語の意味は分かったけれど、そもそも何を読んでいたのか、文脈が切れてしまうからだ。
用語の難しさより、ページを離れる操作が効いている
離脱の直接の引き金は、用語が難しいことではない。「ページを離れる」という操作そのものにある。クリックして、読み込みを待って、読んで、また戻る。この往復のどこかで、読者の集中は一度切れてしまう。
スマートフォンだと戻る操作のコストが体感で重い。タブが増える、履歴が積み重なる、指の移動が発生する。用語ひとつのために本文を離れる価値があるか、読者は無意識に天秤にかける。多くの場合、天秤は「まあいいか、読み飛ばそう」に傾く。読み飛ばした結果、本文の理解は浅くなり、記事全体の滞在も短くなる。
ここで別ページ方式が悪いと言いたいわけではない。用語を体系立てて深く解説したい、その用語ページ自体を検索流入の受け皿にしたい。そういう狙いがあるなら別ページは有効だ。問題は、本文を読んでいる最中の「ちょっと意味を知りたい」まで全部そこへ送ってしまう点にある。
その場で説明を出すという発想

読者が本当に求めているのは、たいてい一言か二言の説明でしかない。「この言葉はこういう意味」。それだけ分かれば本文に戻れる。なら、ページを移さずその場で出せばいい。
「その場で出す」には、大きく3つの形がある。
| 形式 | 出方 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ツールチップ | 用語にホバー/タップで吹き出し | 略語・読み方・一言の意味 |
| 注釈ボックス | 用語を含む段落の下に補足の枠が出る | 2〜3文の補足、条件や図の説明 |
| 脚注 | 本文に連番、記事末尾に一覧 | 出典・但し書き・専門的な深掘り |
いずれも読者はページを離れない。ツールチップなら本文の流れを止めずに意味だけ確認でき、注釈ボックスなら読んでいる段落のすぐ下に説明が続く。脚注は記事末尾へ飛ぶが、参照と脚注が相互リンクで結ばれ、読み終えたら元の位置へ戻れる。往復の摩擦を、設計のほうで吸収してしまう。
別ページと、その場の説明は役割が違う

とはいえ「別ページ解説はもう要らない」とはならない。むしろ併用したほうがいい。
本文中では一言でその場に説明を出し、そのうえで「もっと詳しく知りたい人向け」に詳細ページや解説記事へのリンクを添える。ツールチップの中に「詳しく見る」リンクを置く、といった出し方だ。こうすると、読み進めたい大多数はその場の説明で満足し、深く知りたい少数だけが自分の意志でリンクを踏む。全員を強制的に別ページへ送る設計から、読者が選べる設計へ変わる。
離脱が「必ず」減ると約束はできない。読者の目的も記事の性質もさまざまだからだ。ただ、意味を確認するためだけの遷移を、遷移なしで済ませられる選択肢が増える。それは確かに言える。
設置のイメージ
やること自体は難しくない。用語ごとに「短い説明」と、必要なら「詳しい説明」「詳細URL」を一か所に登録しておく。あとは本文中に同じ用語が出てきたら、ツールチップか注釈か脚注のどれで出すかを決める。表示形式は用語単位でも、サイト全体の既定でも決められる。
この用語辞書と表示のしくみをWordPress上でまとめて持てるのが用語注釈マネージャーだ。用語名・短い説明・詳しい説明・詳細URLをサイト共通の辞書で一元管理し、本文に出てきた用語を用語名や別名で照合して、ツールチップ・注釈ボックス・脚注のいずれかで表示する。吹き出しや枠の見た目は表示時に生成され、投稿本文には保存されない。「詳しく見る」リンクや詳細URLも辞書側に持てるので、その場の説明と深掘りページの併用がそのまま組める。
用語を別ページに切り出すか、本文の中で出すか。二択で悩む話ではない。読者が「今それを知りたい深さ」に応じて出し分けるのが、離脱を招きにくい落としどころだと思う。
導線から見直したいなら、用語注釈マネージャー の表示形式を一度眺めてみてほしい。
