専門的な記事を書いていると、本文の途中で用語にちょっとした説明を足したくなります。<span> にクラスを当てて、CSSで下線とツールチップを付ける。最初のうちはこれで十分回ります。規模が小さいうちなら、この方式はむしろ理にかなっています。手軽で、外部に依存せず、思った通りに出る。
問題が出てくるのは、記事が増えて改訂が日常になったときです。同じ用語を何十本もの記事で説明していて、しかもその説明を一斉に直したい。この状況になると、手作業のHTML注釈は仕組みそのものが足を引っ張り始めます。判断の分かれ目は「うまく書けるか」ではなく「同じ説明が何本に散っていて、どれくらいの頻度で直すか」です。 ここが一定を超えたら、辞書で一元管理する方式に寄せたほうが結局は楽になります。
説明を本文に埋め込むと、あとで効いてくる弱点
きれいに書けている前提でも、手作業の注釈には構造的な弱点が残ります。作り方が下手だから起きるのではなく、「説明を本文に直接埋め込む」というやり方そのものから出てくるものです。
まず、説明が重複します。ある用語をA記事でもB記事でも使えば、同じ説明文を両方に書く。用語の意味は1つなのに、コピーがサイト中に散らばっていく。この時点ではまだ痛くありません。痛くなるのは、それを直すときです。
散らばった説明を一斉に直そうとすると、記事ごとに本文を開いて <span> を探し、中身を書き換えていくことになります。エディタで直接HTMLをいじる作業なので、タグの閉じ忘れやクラス名の打ち間違いが混ざり込みやすい。「1か所直したら別の場所のレイアウトが崩れた」が起きるのは、説明とマークアップが本文と同じ場所に絡み合っているからにほかなりません。
そして表記ゆれに弱い。「NISA」「ニーサ」「少額投資非課税制度」を同じ用語として扱いたくても、手作業だと表記ごとに別々にマークを打つしかありません。あとから略称を統一しようにも、どの記事のどの表記に注釈を付けたか、全体像が誰にも見えていない。一括で直す取っかかりがそもそも無い状態です。
辞書で一元管理すると、この3つがどう変わるか
これらに共通する原因は、説明が「本文の中」に置かれていることです。だから解決の方向も一つに定まります。説明を本文から引きはがして辞書に集め、表示するときに組み立てる。 用語辞書型のプラグインが取る基本の形がこれです。
説明の実体を用語ごとに1件だけ辞書に持てば、重複は消えます。直したいときは辞書の1件を書き換えるだけで、その用語を使っている全記事の表示にそのまま反映される。本文を1本ずつ開いてタグを探す作業が要らなくなります。表記ゆれも、「別名」として正式名称・略称・英字を1つの用語にひもづけておけば、本文中のどの表記でも同じ用語として拾えます。
用語注釈マネージャーはこの辞書一元管理を軸にしたプラグインで、用語の説明・別名・表示形式をサイト共通の用語辞書として持ちます。注釈の見た目(吹き出しや補足枠、脚注)は保存せず表示時に生成するので、設定を変えたり用語を消したりしても、記事側にゴミが残りません。
「プラグインなら本文が絶対壊れない」は言い過ぎ

一点、正直に線引きしておきます。「辞書型にすれば本文が一切書き換わらない」と言い切ると、それは誇張です。本文を触るかどうかは、注釈の付け方によって分かれます。
全記事をまとめてスキャンして承認する経路では、本文(post_content)には手を入れず、どの用語を有効にしたかを記事のメタ情報として記録するだけです。ここは本当に本文非破壊で、あとから設定を変えても記事は元のまま。一方、個別記事のエディタで候補を「採用」したり、手で注釈を挿し込んだりすると、その箇所には目印の <span> が本文に保存されます。付け方によっては、手作業のときと同じくマークが本文に残るということです。
とはいえ性質は違います。手作業では説明の中身までタグと一緒に本文へ書き込みますが、辞書型で残るのは「この用語ですよ」という目印だけ。説明の実体は辞書にあるので、直すのは辞書の1件で済みます。壊れる範囲がまるで違う、と捉えるといいと思います。
| 観点 | 手作業のHTML注釈 | 用語辞書プラグイン |
|---|---|---|
| 説明の置き場所 | 記事本文の中に直接 | 辞書に1件だけ |
| 同じ用語の重複 | 記事ごとにコピーが増える | 1件を使い回す |
| 一斉に直すとき | 記事を1本ずつ開いて書き換え | 辞書の1件を直せば表示に反映 |
| 本文への影響 | 説明ごと本文に埋め込む | 全記事スキャン承認は非破壊/個別採用・手動は目印が残る |
| 表記ゆれ | 表記ごとに別々にマーク | 別名で1つの用語に束ねる |
小規模なら手作業のままでいい
ここまで辞書型に寄せて書きましたが、全部を移し替えるべきという話ではありません。用語が数個で、記事も限られていて、説明をめったに直さないなら、手作業のHTML注釈で困る場面はほとんど来ないでしょう。仕組みが単純なぶん、外部プラグインに依存しない安心感もあります。少数の用語のためだけに辞書を立てるのは、むしろ手間が勝ちます。
判断は冒頭に戻ります。効いてくるのは記事数そのものより、同じ説明がどれだけ多くの記事に散っているかと、それをどれくらいの頻度で直すか。用語が数十を超え、複数記事で使い回し、改訂のたびに全記事へ反映したい。この状態が見えてきたら、手作業で消耗し続けるより辞書型へ移す頃合いです。
移行を具体的に検討する段階まで来たら、辞書登録から3種類の表示形式(ツールチップ・注釈・脚注)までの実際の流れを 製品ページ で確認してみてください。
