WordPress標準の脚注ブロックの使い方と、記事をまたいだ途端に足りなくなるもの

WordPress 6.3 から、脚注はプラグイン無しで作れます。選んだ文字に連番の参照を置き、記事の末尾に注の一覧を出すところまで、ブロックエディタの標準機能でまかなえる。sup タグとアンカーを手で組んでいた頃を思うと、ずいぶん短い手数になりました。

先にこの標準機能を最後まで使い切る話をして、そのあとで、同じ出典や同じ用語が何本もの記事に散り始めたときに何が起きるかへ進みます。

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文字を選んで「脚注」を押す、それだけ

WordPress標準の脚注ブロックで文字を選び、ツールバーから脚注を挿入するまでの3手順を並べた図

手順は3つ。

  1. 本文の中で、注を付けたい文字をドラッグして選ぶ
  2. 現れたツールバーの右端にある下向きの矢印を開く(太字・斜体などの並びの続き)
  3. 出てきた一覧から「脚注」を選ぶ

選んだ位置に小さな連番が入り、記事のいちばん下に脚注ブロックが追加されます。注の中身は、そこへ直接書く。2つ目、3つ目と作っていくと、末尾の同じブロックに項目が積み上がっていきます。

一点だけ前提を。これはブロックエディタの機能なので、クラシックエディタで書いている記事の編集画面には出てきません。

番号の振り直しは、標準機能に任せていい

脚注が脚注として働くかどうかは、番号まわりで決まります。

本文の連番をクリックすると末尾の該当項目へ飛び、項目の末尾にある矢印から元の位置へ戻れる。この往復が最初から組まれているのは大きい。そして記事の途中に注を1つ挿し込んでも、以降の番号は自動で振り直されます。本文の連番を削除すれば、対応する項目も末尾から消える。

途中に一つ足すたび全部を数え直す、あの作業が要らない。それだけでも標準機能に寄せる理由になります。HTMLで脚注を手組みしていたときに何を自分で抱えていたのか、そもそもどんな文章に脚注が似合って、どんな文章では浮くのかは脚注という選択肢が生きる文章、生きない文章のほうに書きました。

その脚注は、記事の外に出られない

ここまでが標準機能でできること。裏返すと、できるのはここまでです。

コアの脚注は「この記事の、この文字」に注を付ける道具で、注の中身もその投稿に紐づいて保存されます。だから、同じ条文・同じ出典・同じ専門用語が次の記事にも出てきたら、もう一度書くことになる。3本目でも書く。

こたえるのは書く手間より、直す手間のほうです。引用元のURLが変わった、参照した規程が改訂された、正式表記を変えると決めた——このとき開く対象は、その語に注を付けた全記事。しかも注の中身は本文ではなく投稿のメタ情報として保存されるので、本文を走査する一括置換では届きません。どの記事に何を書いたか覚えているうちは回りますが、本数が増えれば記憶は当てになりません。

繰り返し出てくる語は、注の置き場所を変える

コアの脚注ブロックと用語辞書の脚注を、注の付く相手と直すときの手間で比べた図

発想を裏返してみます。注を「記事の中の文字」ではなく「用語」のほうに持たせておけば、記事をまたいでも同じ注を呼び出せる。

用語注釈マネージャーはこの形で、サイト共通の用語辞書に用語を1件登録し、その用語の表示形式として脚注を選んでおきます。書いた語に片っ端から付くわけではなく、検出された候補を人が確認して有効にする一手が挟まる。有効にした語には、連番の参照・記事末尾の一覧・参照と注を結ぶ相互リンク・本文へ戻る導線が、表示のたびに組み立てられます。見た目そのものは投稿本文に保存されません。だから注の文面を直すときも、辞書の1件を書き換えれば済む。その語を使っている記事を開き直す必要も、再保存する必要もありません。

観点コアの脚注ブロック用語辞書に脚注を持たせる
注を付ける相手その場で選んだ文字辞書に登録した用語
同じ注の使い回しその記事の中だけサイト内のどの記事でも
中身を直すとき注を書いた記事を1本ずつ開く辞書の1件を直す
表記のゆれ選んだ文字だけが対象別名で正式名称・略称・英字を束ねる
番号と戻り導線自動で組まれる自動で組まれる(表示時に生成)
向いている注その記事限りの一回きりの補足何本もの記事に出る条文・出典・専門用語

条文や判例を扱う士業のサイトでは、この差がそのまま日々の作業量になります。事務所単位での具体的な運用は法律事務所のブログで条文・判例の出典を脚注にまとめるのほうに寄せました。

併用が現実的な落としどころ

辞書側の脚注にも、はっきりした線があります。注が付くのは辞書に登録した用語だけ。「この段落にだけ、この記事限りの補足を足したい」という使い方は、コアの脚注ブロックの担当のまま残ります。作っている側の言い方をすると、任意の一文を自由に注へ落とせる汎用エディタであることより、記事をまたいで同じ説明を保つほうを設計の軸に置いています。守備範囲が違う。

どちらかを捨てる必要はありません。繰り返し出てくる語は辞書に、その場限りの補足はコアの脚注ブロックに。すでに公開してある記事へまとめて注を行き渡らせたいなら、本文を書き換えずに反映する経路もあります(過去記事に用語注釈を一括で入れても、本文が書き換わらない仕組み)。

用語が数個で、注記の中身も記事ごとに違うなら、標準の脚注ブロックだけで足ります。プラグインを増やさずに済むのは、それ自体が値打ち。置き場所を考える頃合いは、同じ注を3本目の記事にコピーしている自分に気づいたときです。

辞書に脚注を持たせる運用がどう組まれているかは、用語注釈マネージャーの製品ページに置いてあります。

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