不動産ホームページの情報更新を管理する:物件より先に古くなるのは、免許と表記のほう

不動産のサイトで更新が止まって困るのは、物件情報ではありません。物件は毎日触ります。掲載も終了も日々動いていて、専用のシステムから流し込んでいる会社なら人の手すら要らない。放っておいて古くなるのは逆側——年に一度も触らない情報のほうです。

免許証番号、取引態様の明示、仲介手数料の書き方、代表者名、事務所の所在地、在籍している宅地建物取引士。どれも数年に一度しか変わりません。変わらないから誰も見ない。見ないから、変わった年に直し忘れていても誰も気づかない。

この記事は、変わる速さの違う情報をどう管理の単位へ割るかを、コンテンツ更新管理というWordPressプラグインの設定に落として書きます。

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毎日触っている情報は、古くならない

更新の管理で思い浮かべるのは、たいてい件数の多いほうです。物件が何百件とあって、その全部に見直しの期限を配る絵。ところが、更新頻度の高い情報に期限は要りません。募集が終われば掲載を落とし、賃料が変われば直す。業務そのものが更新を強制しているからです。

期限が要るのは、業務のどこにも登場しない情報のほうです。会社概要ページの免許証番号は、免許を更新した月に誰かが思い出さなければ、古い番号のまま何年も載り続ける。宅建業の免許には有効期間があって、更新のたびに免許証番号のかっこの中の数字が増えます(年数や手続きは所管の窓口の案内が正確です)。増えた数字がサイトのどのページに書いてあるか、把握している人がいるかどうか。ここが穴になります。

守る順番は件数の逆になります。数が多くて動きの速いものではなく、数が少なくて動かないものから期限を持たせる。

直し忘れが出るのは、全物件に同じ文言で出ている表記

物件ページを1枚ずつ見ていくと、どのページにも同じ文言が並んでいるはずです。取引態様、仲介手数料の説明、広告表記に関わる但し書き、キャンペーンの注記。個別の物件データではなく、テンプレートやフィールドの初期値、あるいは共通パーツに埋まっているものです。

この手の表記には、都合の悪い性質が2つあります。直すのは1か所で済むぶん、誰の作業でもないこと。そして間違ったまま出ていると、1件ではなく全物件のページで間違っていること。件数のわりに時間はかからないのに、着手する理由が誰にも回ってこない。

期限を持たせる単位は4つあります。投稿(固定ページやカスタム投稿タイプ「投稿」「固定ページ」とは別に用意する独自の投稿の種類。物件・店舗・用語のように同じ形の情報を、通常の記事と混ぜずに管理する。を含む)、本文の一部分を囲む管理ブロック、ACFAdvanced Custom Fields。投稿に独自の入力欄(カスタムフィールド)を追加するプラグインの定番。無料版と有料のPro版がある。フィールド、カスタムフィールド投稿に本文とは別の「項目名と値」を持たせる入力欄。資本金や営業時間のような値を本文の外で管理でき、ACFなどのプラグインで追加するのが一般的。。投稿単位は1つの投稿に1つだけですが、ブロックとフィールドは何個でも置けます。共通の表記が本文にあるなら、その範囲だけをブロックで囲めば、記事本体とは独立した管理対象になり、期限も担当者も承認者も別に持てる。囲み方と、囲んだ範囲の保存のクセはページの一部分だけを違う周期で回す考え方にまとめてあるのでそちらへ。

賃料や管理費のようにACFやカスタムフィールドへ入っている値なら、値そのものを管理対象にできます。物件1件ずつの賃料に期限を配る意味は薄いですが、「対応エリア」「手数料率」のようにサイト全体で1つしかない値なら効きます。

次の日付が先に分かっているものは、周期で回さない

更新頻度は1〜999と日・週・月・年の組み合わせで持てます。ただし免許の更新のように、次にいつ来るか先に分かっている出来事は、周期の当てどころがありません。

こういう対象は更新頻度を「なし」にして、次回確認日にその日付そのものを入れます。頻度なしなら確認を完了しても日付は動かないので、次の予定が見えた時点で人が入れ直す形になる。周期で回るものと同じ一覧に混ざりますが、重要度(低・中・高・重大の4段階)を分けておけば並び順で区別が付きます。法令や契約に関わるものは「重大」を想定した段階です。

免許の更新のように手続きそのものに月単位の時間がかかるものは、期限前の通知を「2か月前・2週間前」くらいの間隔で複数段入れておく。日付に間に合わせるのではなく、手続きを始める日に合わせて鳴らす、という置き方になります。ただし届き方には前提があって、判定は日単位、送信は毎時の定期処理に乗っている。分単位で飛ぶものではないので、その日の朝に必ず、という約束はできません。

掲載が前提の表記に、非表示は使えない

免許証番号など隠せない会社情報と、期限後に差し替えられる期間限定の掲載を、扱いの違いで比べた図

期限を過ぎたときの扱いは、管理単位ごとに選びます。投稿なら、管理画面で警告のみ/下書きへ戻す/非公開にする/指定URLへリダイレクトあるURLを開いたとき、別のURLへ自動で転送すること。ページを消す代わりに関連ページへ送ると、検索エンジンからの流入やブックマークを失いにくい。。ブロックなら、警告のみ/フロントで非表示/代替メッセージに差し替え。どの単位も既定は「何もしない」で、登録しただけでページが動くことはありません。

会社情報で選べるのは、事実上いちばん上の「管理画面で警告のみ」でしょう。免許証番号や取引態様は載っていること自体に意味のある情報なので、確認が遅れたからといって隠すわけにいきません。古い番号が出ているのも問題ですが、番号ごと消えるのはもっと問題です。

見せ方を変える選択肢が効くのは、初めから終わりの決まっている掲載のほう。キャンペーンの但し書き、期間限定の手数料の表示、終わった内覧会の案内。この範囲をブロックで囲んでおけば、期限を過ぎた部分だけが代替メッセージ(既定は「現在、この情報は確認中です。」)に差し替わり、ページ本体は公開されたまま残ります。本文は書き換わっていないので、確認を完了すれば表示は自動で戻る。終わりの決まったページ全体をどう畳むかは掲載期限のあるページの扱い方のほうに書きました。

下書きと非公開にした投稿だけは自動で戻りません。「以前の公開状態へ戻す」を人が押します。

物件にまで期限を配ると、一覧が読めなくなる

不動産サイトで期限を配る順番を、会社概要・共通表記・期間限定の欄・物件は対象外の4段階で示した図

では物件のほうはどうするか。掲載中の物件すべてに次回確認日を配るのは勧めません。数百件が同じ条件で登録され、同じ日に期限が来て、通知が同じ顔で並ぶ。管理対象の一覧を開かなくなったところで、この仕組みは終わります。

投稿タイプの単位で外せます。設定の「管理対象とする投稿タイプ」で選ぶ形なので、物件のカスタム投稿タイプを外しておけば管理対象は作られません。後から外しても既存の行は書き換えず、「停止中」として都度算出されるだけ。戻せば元どおりで、進行中の確認や承認は最後まで進められます。

ここは一度、別の設計で作りかけました。外した投稿タイプの行はまとめて無効化すれば済む、と考えていたからです。手元で副作用を書き出す作業に入って58件を挙げ、反証で潰しきれなかったものが32件残った。承認待ちの行が承認者の画面から消える、対象に戻したときに期限を過ぎた処理が一斉に走る、人が手で無効化した行と見分けが付かなくなる。行そのものには触らず、停止中かどうかを都度算出する形へ変えました。

担当は支店では持てない。人の名前で入る

担当者の欄に入るのは、WordPressのユーザーが1人。必須項目で、「本店」「◯◯支店」のような組織の単位は受け付けません。承認者を立てる場合も同じユーザー単位で、担当者との兼任は保存できない仕様です。

指名には条件もあります。担当者にできるのは、確認を実行する権限を持ち、かつその投稿を編集できるユーザーだけ。店長に自分の店舗ページを担当させるなら、そのページを編集できるロールを先に用意することになります。

置き方を並べると、こういう形になります。まだ出していない製品なので、これは導入した会社の実例ではなく、設定として何が組めるかの想定です。

管理対象単位周期誰が
会社概要ページ全体投稿1年総務の担当者
免許証番号・取引態様の欄管理ブロックなし(免許の更新日を次回確認日に)宅地建物取引士の有資格者
仲介手数料の説明管理ブロック6か月営業の担当者
各店の取扱エリアの説明カスタムフィールド1年その店の責任者
キャンペーンの但し書き管理ブロックなし(終了日を次回確認日に)販促の担当者

誰がいつ確認したかは管理対象ごとの履歴に残ります。担当者を替えた記録は変更前と変更後の名前まで、通知は誰宛に送ったかまで。人の入れ替わりが多い会社ほど効いてくるはずです。ただし残り続けるわけではなく、設定した保持期間を過ぎた分から消えていきます。

不動産のサイトは、動きの速い情報のおかげで「更新されているサイト」に見えます。見えるだけで、動かない情報のほうは誰の視界にも入っていない。期限を持たせるのは、そちら側からです。公開したあとの確認をサイトの中で回す枠組みは更新の期限と担当者をWordPressの中に置く記事にまとめました。

製品ページは コンテンツ更新管理 にあります。

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