更新ルールを決めようとするとき、たいていは全ページの洗い出しから入ります。URLを並べ、担当を割り当て、見直しの周期を書き込む。ここまでは1日で終わる作業で、しかもやり終えた時点の満足度が高い。崩れるのはその次、決めた周期が回り始めてからです。
先に結論を書いておきます。更新管理を始めた最初の1か月でやることは2つだけ。期限を持たせるページを絞ることと、期限を過ぎたときの処理を「警告のみ」のまま1周させること。残りは1周してから決めて間に合います。以下は、コンテンツ更新管理というプラグインで更新ルールを立ち上げると初月がどう進むかを、時間順に並べたものです。導入事例の報告ではなく、設計した本人が想定している進め方として読んでください。仕組みそのものの全体像は更新管理をWordPressの中に置く記事にまとめてあります。
全ページに期限を配ると、1周目で破綻する
期限は、配った日ではなく来た日に仕事を作ります。300本の記事に「6か月ごと」を配った月は、何も起きません。全部が期限前だから静かで、この静けさが判断を狂わせる。半年後、300件の確認が同じ週に立ち上がります。
確認1件にかかる時間は中身しだいです。読んで「合っている」で終わるものもあれば、営業に問い合わせて数字を直し、公開するまで数日かかるものもある。それが束で来て、通知も同じ顔で並ぶ。ここで一覧を開かなくなったら、更新ルールはスプレッドシートの棚卸し表と同じ終わり方をします。
だから初月に登録するのは、期限が過ぎたまま公開されていると困るページだけ。数を絞るのは手を抜くためではなく、1周を最後まで回して「この周期で回せるのか」を確かめるためです。回ると分かってから増やす。
最初の週に決めるのは、期限を持たせないページのほう


選別の物差しには重要度を使います。コンテンツ更新管理の重要度は4段階で、それぞれに想定を置いてあります。
| 重要度 | 想定している中身 |
|---|---|
| 重大 | 法令・契約・医療・金融・セキュリティに関わる情報 |
| 高 | 価格・採用情報・製品仕様 |
| 中 | サービス説明・事例・FAQ |
| 低 | コラム・読み物 |
初月に登録するのは「重大」と「高」まで。中と低は、この段階では触りません。迷ったときの判断は「間違ったまま載っていたら、誰かに謝ることになるか」で、謝る側に転ぶなら高以上。読み物が半年古くても謝ることにはならないので、後回しで構いません。
ひとつ誤解を先に潰しておくと、重要度を上げても通知は増えません。重要度が効くのは一覧の並び(既定は期限超過が先、次に期限の早い順、その中で重要度の高い順)と、9軸ある絞り込み、それからダッシュボードの「重要度が重大の未対応」という集計です。通知の量を決めるのは期限前・期限超過に入れた日数のほう。重要度は急かすための札ではなく、後回しにできない順へ並べるための札です。
ダッシュボードのカードの数字と、押した先の一覧の件数は必ず一致します。「期限接近」の物差しは設定の「期限接近と見なす日数」1本(既定7日、1〜90日で変更可)で、バッジも絞り込みもカードも同じ規則で数える。
ここは開発している途中で一度壊していました。カードのほうを「7日以内」「30日以内」という固定の日数で数えていて、押した先の一覧は設定の日数で絞っていた。既定の7日のままなら偶然そろうので、閾値を14日に変えた人のところだけ数字が食い違う。数え方の正本をひとつに寄せて直しました。初月に「ダッシュボードと一覧で件数が違う」を踏むと、そのあと一覧の数字を確かめる癖がついてしまう。件数は迷わせるところではない、という判断です。
登録する日に選ぶのは、警告だけを出す設定
管理対象を作るとき、期限を過ぎたあとの扱いを選ぶ欄があります。既定は「何もしない」で、登録しただけで公開中のページが動くことはありません。ただし既定のままだと管理画面の側にも何も足されず、一覧とダッシュボードで数えられるだけになる。初月に選んでおきたいのは、ひとつ隣の「管理画面で警告のみ」です。読者が見るページには何も起きないまま、管理画面の側だけが期限を知らせてくれる状態になります。
残りの選択肢——公開の見せ方まで変えるほう——を初月から使わないのは、入れた日付がまだ仮だからです。3か月ごとと書いたが半年で十分だった、逆に3か月では遅かった。初月に決めた周期が妥当だったかは、1周してみないと確かめられません。仮の日付のまま公開を止める設定を入れておくと、直す価値のあるページが期限超過の翌日に落ちる。何が選べて、止めたページをどう戻すかは期限を過ぎた投稿の扱い方にまとめてあるので、1周してから読めば足ります。
通知も同じ考えで最小限から始めます。期限前通知と期限超過通知は任意の項目で、日数を入れなければその通知は飛びません。期限当日と、超過して数日目に1本。それが読まれていると分かってから14日前・7日前を足していくほうが、最初から5本並べて全部無視されるより確実です。
「変更不要」ばかりで1周が終わったら、その周期は短すぎた
最初の期限の日が来ます。担当者に通知が届き、詳細画面で対応開始を押し、中身を見て、確認結果を登録する。結果は3種類(更新した/変更不要/対象外)あって、初月に見ておきたいのは、そのうち「確認したが変更不要」がどれくらいの割合で出たかです。ほとんどが変更不要で終わったなら、その周期は短すぎた。逆に、期限が来るずっと前から直したくなっていたページは、周期が長すぎたということ。管理対象の一覧は運用ステータスで絞れるので、完了の内訳はそこで数えられます。1周目は確認そのものより、この配分を測る期間だと思っておくといい。
確認が完了すると、その日を基準に次回確認日が計算し直されます。元の期限日ではなく、完了した日が起点。3日遅れて確認したら、次の期限も3日後ろへずれる。初月の1周が、そのままそのあとの更新リズムになるわけです。ずれを嫌って元の日付へ引き戻す作りにはしていません。遅れた事実のほうを正として、次の周期を引く。
承認者を置くのは、初月なら法令や契約に関わるページだけに絞るのが現実的です。承認者を設定すると、承認されるまで完了になりません。1周目は誰が確認するのかを実地で確かめる期間なので、止まる場所は少ないほうがいい。
2周目に入る前に広げる

1周終わったところで、初めて手を広げます。やることは3つ。
周期の直し。 1周回すと、3か月では細かすぎたページと、1年では粗すぎたページが見えます。ここで更新頻度を入れ直す。
中・低のページへの展開。 ここからは1本ずつ登録しません。投稿タイプとカテゴリの条件に担当者・更新頻度・重要度・通知を持たせておくと、条件に合う新規投稿へ自動で当たり、既存の投稿にもまとめて適用できます。初月に手で入れた担当者や期限は、既定の当て方なら残ったままになります。対象件数の確かめ方から流し方までは運用ルールで担当者と更新頻度を配る手順に書いたので、広げる段になったらそちらを。
期限を過ぎたときの扱いの格上げ。 1周を回して「このページは期限を過ぎたら見せないほうがいい」と判断できたものだけ、下書き・非公開・リダイレクトあるURLを開いたとき、別のURLへ自動で転送すること。ページを消す代わりに関連ページへ送ると、検索エンジンからの流入やブックマークを失いにくい。へ変えます。判断の材料は1周目の結果そのもの。期限が来ても直しきれなかったページが、その候補になります。登録した全部を格上げする必要はありません。
この順番を逆にすると、取り返しが効きにくくなります。先に全件へ配ってから絞り込もうとしても、通知はもう飛んだあと。絞ってから広げる。
初月に残すルールは3行で足りる
社内文書としての「更新ルール」に書くことは、初月を終えた時点で3行に収まります。
- 期限を持たせるのはどのページか(重要度が高以上)
- 誰が確認するか(担当者は個人ユーザー単位。部署やチームでは持てない)
- 確認したら何を残すか(更新した/変更不要/対象外のどれかと、その日から立つ次の期限)
3行で済むのは、残りが管理画面の側に載っているからです。周期の計算も、通知を送る日も、誰がいつ何をしたかの履歴も、文書で管理する必要がない。裏返すと、文書に書くべきなのは機械に決められない部分——どのページを対象にするか、誰の名前を入れるか——だけということになります。
念のため書いておくと、初月にやっているのは判断の自動化ではありません。どのページを対象にするかも、中身が合っているかどうかも、決めるのは人のまま。変わるのは、その期限を覚えておく係が人でなくなることだけです。
製品ページは コンテンツ更新管理 にあります。
