専門用語の多い記事を何十本も抱えていると、注釈を一本ずつ手作業で付けるのは続きません。かといって、機械的に全記事へ一括で付けると、リンクの中や見出しにまで注釈がぶら下がって逆に読みにくくなる。用語注釈マネージャーの全記事スキャンは、この「一括の楽さ」と「誤検出の怖さ」のあいだを、ドライラン→承認→(必要なら)取消という順序で埋めていく作りになっています。
以下は、承認ボタンを押す前にやっておく下ごしらえの話です。
まず対象を絞ってからドライランに回す

全記事スキャンは、いきなり全部を舐めさせない方が結果を読みやすくなります。対象は投稿タイプ・ステータス・カテゴリー・著者・期間で指定できるので、たとえば「公開済みのコラムだけ」「特定カテゴリーの直近分だけ」と範囲を切ってから走らせる。
指定したらドライランです。この段階では本文には一切触れません。何がどう引っかかるかを候補テーブルで見せるだけ。列は、用語・検出された文字・前後の文脈・表示形式・信頼度・状態。前後の文脈が出るのが地味に効いていて、「この用語、この文だと注釈いらないな」という判断が一覧のまま付けられます。
誤検出の大半は「どこを除外するか」で決まる

候補が多すぎて絞りきれないときは、たいてい除外設定を触っていません。
既定でリンク内・見出し内・ボタン内・コード内は検出から外れます。ここは切り替えられますが、外す理由がなければ既定のままでいい。さらに、特定のブロックまるごとや、CSSセレクタで狙った箇所を除外できます。「注釈やCTAのボックスだけは触ってほしくない」といった要望は、セレクタ指定で片が付くことが多い。
短い語も誤検出の温床です。日本語1〜2字・英語2〜3字の短語は、バッチスキャンの既定では対象外になっています。「A」や「県」みたいな語が本文のあちこちに刺さる事故を、最初から避ける設計です。
もうひとつ効くのが一致モード。ゆるい・標準・厳密の3段階で、日本語なら助詞(を・が・は・に…)をまたいでよいか、英数字なら語の境界をどこまで厳密に見るかが変わります。拾いすぎるなら厳密へ、逆に取りこぼすならゆるい方へ。個別記事エディタ用とバッチ用で条件を別々に持てるので、一括処理だけ厳しめにする、という調整もできます。
| 悩み | 触る場所 |
|---|---|
| リンクや見出しに注釈が付く | 既定除外はそのまま/必要ならブロック・CSSセレクタ除外 |
| 短い語が拾われすぎる | 短語はバッチ既定で対象外(一致モードも厳密へ) |
| 全体に拾いすぎ・取りこぼし | 一致モード3段で調整(バッチ用条件を個別と分けて設定) |
検出そのものはAIではなく、用語名と別名(表記ゆれ)を本文の文字列と照合する純粋なロジックです。読み方(ふりがな)は検索や並べ替えに使うもので、検出には関わりません。文脈を賢く読んで拾う仕組みではないぶん、どこで引っかかるかは除外と一致モードで素直に制御できます。
承認しても本文は書き換わらない

絞り込みが済んだら承認します。ここが全記事スキャンの肝で、承認しても投稿本文(post_content)は書き換わりません。どの用語を有効にしたかをメタ情報に記録するだけで、注釈の見た目は表示時に組み立てられます。何百本まとめて承認しても、記事のHTMLそのものは元のまま。
ひとつ線を引いておくと、この非破壊は全記事スキャンの承認に限った話です。個別記事エディタでの「採用」や手動で付ける注釈は、本文にマーク(span)を挿入して保存します。全記事一括だから本文を汚さずに済む、という順序で捉えておくのが正確です。
承認後はCSVで結果を書き出せます。取り消したくなった場合は、直前の1回だけ元に戻せます。何世代もさかのぼれるわけではないので、大きめの承認をかける前にCSVを控えておくと安心です。スキャン自体は途中で止めて再開もできます。
承認前に把握しておきたい制約
下ごしらえの精度を上げても、拾えないものはあります。既知の制約として、ショートコードが出力するテキストの中にある用語は捕捉できません。ショートコードで差し込まれた本文は、この照合の対象外だと思っておいてください。用語集ページやツールチップ側の設定で補う、といった別の見せ方に回す判断になります。
逆に言えば、通常の本文テキストであれば、対象の絞り込み・除外・一致モードの3点を整えるだけで、承認前に候補の質はかなりコントロールできます。全記事へまとめて注釈を回しつつ本文は非破壊、という運用は、この下ごしらえがあって初めて安心して押せるものになります。
そのあたりの設定項目の位置関係は、用語注釈マネージャー の設定画面を実際に触りながらだと掴みやすいはずです。
