専門用語に注釈を付けたいとき、まず引っかかるのは「本文を書き換えたくない」という一点だと思う。校正済みの原稿にプラグインが勝手にマークを埋め込むのは避けたい。そこを整理しておく。
用語注釈マネージャーの用語検出は、AIを使わない。用語辞書に登録した用語名と別名(表記ゆれ)を本文と照合するだけの、純粋なロジックです。DOMのテキストノードだけを走査し、最長一致を優先する。読み方(ふりがな)は検出に使いません。あれは用語集の並べ替えや検索のためのもので、照合の対象は用語名と別名に限られます。
AIが「賢く判断する」わけではない
「文脈を読んで用語を拾う」たぐいの動きを期待すると、たぶん裏切られます。やっているのは辞書との単純な突き合わせで、そこにAIの判断は入りません。だからこそ結果が読める。同じ本文に同じ辞書をあてれば、同じ場所が同じように拾われます。
一応AI下書きという機能もありますが、これは説明文のたたき台を作る補助であって、検出とは別物。WordPressコアのAIコネクタが有効なときだけ「AIで説明案を作成」ボタンが出ます。生成された文章は入力欄に流し込まれるだけで、自動保存はされません。人が目を通して直す前提です。コネクタが無ければボタンは出ないだけで、用語の自動抽出そのものはAIなしで普通に動きます。
「本文を書き換えない」がどこまで本当か
ここは正直に線を引いておきたい。付け方によって、本文に印が残るものと残らないものがあります。
全記事をまとめてスキャンして承認する経路(バッチ処理)は、承認しても本文そのものには手を入れません。どの用語をどこで有効にしたか、という情報をメタデータ側に記録するだけ。post_content は無改変のまま残ります。ここは真に非破壊と言えます。
一方で、個別記事のエディタで候補を「採用」したり、手で注釈を付けたりした場合は、本文にマーク(span)が挿入されて保存されます。つまり印は残る。「どんな付け方でも本文を一切いじらない」わけではないので、そこは分けて考えてください。
見た目のほうは経路を問わず共通です。吹き出しも、段落下の注釈ボックスも、記事末尾の脚注一覧も、表示するときに毎回生成されます。投稿本文に見た目のHTMLが焼き込まれることはありません。
検出の精度は設定で決まる

AIが無いぶん、どう拾うかは自分で条件を決めます。一致モードは3段階(ゆるい/標準/厳密)。日本語の助詞(を・が・は・に…)をまたいでの一致を許すか、英数字の境界をどう扱うか、同じ用語を初回だけ拾うか毎回拾うか。このあたりを用語ごとの優先度(-100〜100)と合わせて調整していきます。
短い語の暴発を抑える仕組みも入っています。全記事スキャンでは、日本語1〜2字・英数2〜3字といった短語は既定で対象から外れる。作っている側の狙いとしては、こうした語ほど誤検出の温床になりやすいので、最初から外しておくという判断です。
まとめて処理するときの安全網
全記事スキャンは、対象(投稿タイプ・ステータス・カテゴリー・著者・期間)を絞ってからドライランで下見できます。候補はテーブルに並び、用語・検出された文字・前後の文脈・表示形式・信頼度・状態が一覧に出る。ここで絞り込んでから承認に進みます。承認結果はCSVに出せますし、直前の操作なら1回だけ取り消せます。何度でも巻き戻せるわけではない点は覚えておいてください。
処理はAction SchedulerかWP-Cronで回るので、途中で止めて後から再開することもできます。
どんなサイトに向くか
士業や医療、不動産、金融、IT、教育。専門用語が多くて、しかも用語の説明をサイト全体で揃えたい日本語サイトほど、辞書で一元管理する意味が出てきます。用語辞書(cam_term)に説明を一度書けば、ツールチップでも注釈ボックスでも脚注でも、同じ説明を使い回せる。
検出がAIではなく決まったロジックだというのは、地味に見えて効いてきます。挙動が読めて、同じ入力なら同じ結果が返る。校正済みの本文をなるべく汚さずに注釈だけ足したい、という現場の要求とも噛み合います。
用語の付け方と本文の扱いをもう少し細かく見たい場合は、用語注釈マネージャーの製品ページに機能ごとの説明があります。
