クリニックのサイトで診療内容の説明を書くのは事務スタッフや制作会社で、その内容に責任を持つのは院長です。税理士事務所のコラムは所員が書き、所長が目を通してから出る。保険代理店の商品説明、社労士事務所の助成金の案内も同じ構図で、書く人と、内容の正しさに責任を持つ人が別にいる。
そしてこの業種では、情報の期限を決めるのが書いた人の都合ではありません。診療報酬の改定、税制改正、法改正の施行日、商品の改定。外から期限が来る。公開時点で正しかった記事が、翌年度には正しくなくなる。それをサイト側で追い続ける仕組みの話を、監修者を承認者に置く運用を軸に書きます。
先に線を引いておくと、内容の正しさはプラグインが見ない
最初に書いておきます。ここで扱うプラグイン——コンテンツ更新管理——は、記事の内容が正しいか、広告に関する規制や業法に適合しているかを判定しません。判定するのは監修者です。プラグインがやるのは、どのページをいつ誰が見るかを決めて期限が来たら知らせること、見た人が結果を登録し監修者がそれを承認するまで完了にしないこと、そして誰がいつ何をしたかを残すこと。「見直しの契機を作る」道具であって、「正しさを保証する」道具ではありません。
だから、この記事に法令の解説はありません。何か月ごとに見るべきかも、業種と扱う情報で変わるので、以下に出す頻度はすべて想定の一例です。実績のある数字ではない。
頻度は月・年で持ち、改正のたびの見直しは「頻度なし」で

更新頻度は「1〜999」と「日・週・月・年」の組み合わせで管理対象ごとに持てます。この業種で日・週の単位を使う場面はあまり無く、月と年が中心になるでしょう。
想定として、クリニックなら診療案内は6か月ごと、自由診療の料金は3か月ごと、健康コラムは1年ごと。士業なら制度解説は年度替わりに合わせて1年ごと、料金表は6か月ごと。確認が完了する(承認者を置いていれば承認された)と、その日と頻度から次回確認日が計算し直されるので、遅れて確認しても次の期限は「本来の日付+頻度」ではなく「確認した日+頻度」になる。ここは好みが分かれるかもしれませんが、遅れた分だけ次も後ろへずれるほうが実務には合うと考えています。
法改正の施行日のように一回きりの期限は、頻度を「なし」にして次回確認日にその日を入れます。確認しても日付は動かないので、施行日を過ぎて確認したら、次の改正が見えた時点で人が日付を入れ直す。周期で回すものと、出来事で回すものを分けておくと、期限一覧が読みやすくなります。
ページ数が多いなら、カテゴリや投稿タイプごとに担当者・頻度・重要度を運用ルールとして持たせ、新しい記事には自動で、既存の記事にはまとめて適用できます。「コラム」カテゴリは1年・重要度は中、「制度解説」は1年・重要度は重大、のように。重要度の「重大」は法令・契約・医療・金融の情報を想定した段階で、管理者のダッシュボードには「重要度が重大の未対応」だけを数えたカードが出ます。溜まっていないかを見る入口はここになる。
期限前の通知は日数を複数指定でき、監修者の予定を押さえる必要があるなら30日前・7日前のように早めから送るのがよさそうです。1週間前に「見てください」では、外部の監修者はつかまらない。
監修者を承認者に置くと、承認されるまで終わらない

管理対象には担当者と、任意で承認者を置けます。担当者を書いた人(事務、ライター、所員)、承認者を監修者にする。これがこの記事の運用の中心です。
承認者を置いた管理対象は、担当者が「内容を更新した」「確認したが変更不要」「対応対象外」のいずれかを登録すると承認待ちになり、承認者が承認して初めて完了になります。差し戻すときは理由が必須。承認待ちの間に本文が変わると承認は無効になって修正中へ戻る——監修者が見た内容と公開されている内容が違う状態を作らないためです。
担当者と承認者の兼任はできません。作っている側の判断で、自分で確認して自分で承認する承認は承認ではない、というところに線を引きました。院長が自分でコラムを書いて自分で監修する体制なら、承認者は置かずに担当者だけで回すことになります。それはそれで構わない。承認者は任意です。
監修者を承認者に指名するには、その人がWordPressのユーザーで、承認を実行する権限(既定では管理者・編集者)を持ち、そのページを編集できる必要があります。外部の医師や税理士に監修を頼んでいる場合、アカウントを発行することになる。ここは運用上の摩擦で、承認をメールの返信で済ませたい監修者もいるでしょう。それでも中で承認してもらうことにこだわるのは、承認した事実と承認された内容が同じ場所に残るからです。診療科ごとに監修者が違うなら、管理対象ごとに承認者を替えられます。承認は1段階だけなので、「執筆→編集長→監修者」のような二段は組めません。監修者だけを承認者にして、編集長のチェックは担当者側の作業に含める、という形になります。
「誰が監修したか」を、監修者が替わったあとも残す
履歴には、確認結果の登録、承認、差し戻し(理由つき)、担当者や承認者の変更(変更前と変更後の名前)、通知の送信(どのチャンネルで、誰宛に)が、実行日時と実行ユーザーとともに管理対象ごとに並びます。「この診療案内は、いつ誰が確認し、いつ誰が承認したか」を、ページを開けば読める。
監修者が交代する場面を想定して、通知の宛先の役割は送信した時点で記録しています。表示のたびに現在の承認者と突き合わせて推定する作りにすると、承認者を替えたあとで過去の履歴の意味が変わってしまう。去年の承認依頼が「当時の監修者宛」だったことは、今年監修者が替わっても変わらないようにしてあります。履歴は通常の操作では編集も削除もできません。消えるのは保持期間の経過とアンインストールのときだけ。
念のため書いておくと、これは一般的な追記型の履歴で、監査に耐えると断言できる類のものではありません。ただ、「この記載はいつ誰が見たのか」と問われたときに、記憶やメールではなくページの中の記録で答えられる状態にはなります。
注意書きや免責だけ、記事より短い周期で
医療や金融の記事には、本文とは別の周期で見直すべき部分があります。「令和○年○月時点の情報です」という注記、自由診療の価格、手数料の表、免責事項。本文は年に一度でよくても、こういう部分は改定のたびに変わる。
記事全体ではなく、その部分だけを「コンテンツ更新管理セクション」ブロックで囲んで、別の担当者・別の頻度・別の監修者を持たせられます。期限を過ぎたときにそのブロックを代替メッセージ(既定は「現在、この情報は確認中です。」)に差し替える設定もあり、その場合も保存された本文は書き換えず表示だけを変え、確認が完了すれば元に戻る。この一部分だけを管理する考え方は別の記事にまとめてあります。
想定している運用(実績ではない)
一つ、クリニックのサイトを例に組んでみます。実際に運用した例ではなく、設定として組める形の確認です。
| 管理対象 | 担当者 | 承認者 | 更新頻度 | 重要度 | 期限前通知 |
|---|---|---|---|---|---|
| 診療案内(固定ページ) | 事務スタッフ | 院長 | 6か月 | 重大 | 30日前・7日前 |
| 自由診療の料金表(ブロック) | 事務スタッフ | 院長 | 3か月 | 高 | 14日前・3日前 |
| 健康コラム(投稿、カテゴリ単位で運用ルール) | 執筆担当 | 院長 | 1年 | 中 | 30日前・7日前 |
| 法改正に関する注記(ブロック) | 事務スタッフ | 院長 | なし(施行日を次回確認日に) | 重大 | 30日前・7日前 |
回し始めると起きそうな摩擦も書いておきます。院長が忙しくて承認待ちが溜まる。これはエスカレーション先(権限は不問。事務長でも構わない)を置いて、超過が続いたら別の人にも通知が行くようにするのが一つの手です。もう一つ、承認待ちの間に事務が誤字を直すと承認が無効になって修正中へ戻る。仕様どおりの動きですが、知らないと「せっかく依頼したのに」となる。細かい修正は差し戻してもらってからまとめて、と決めておくほうがいい。
医療・金融・士業のサイトで、正しさを保証する道具はありません。見直しの期限を決め、見る人と責任を持つ人を分け、見た事実を残す——できるのはそこまでで、そこまでを仕組みにするのがこの運用です。公開後の確認を回す仕組みの全体は公開して終わりにしない管理の全体像にまとめました。製品ページは コンテンツ更新管理 にあります。
