Typeformで診断やアンケートを運用していて、「そろそろ別の形を考えたい」と思い始めた人向けの記事です。 理由はだいたい決まっていて、回答が増えてくると料金が気になる、日本語まわりが微妙にしっくりこない、そして自社サイトとの統合がどうしても外部埋め込み止まりになる——この3つが多いです。
先に結論を言うと、WordPressを使っているなら、診断やアンケートを自分のサイト内で完結させる作りに乗り換える価値は十分あります。 ただしTypeformが悪いという話ではありません。
Typeformは手軽で、UXも洗練されていて、保守も向こう任せにできる、よくできたSaaSです。乗り換えが向く人と向かない人がはっきり分かれるので、そこを正直に書きます。
この記事では診断シミュレーションProというWordPressプラグインを引き合いに出しますが、まずは「どういうときに乗り換えると幸せか」から考えていきます。
Typeformの良さは認めたうえで、引っかかるところ
Typeformの強みは素直にすごいです。 1問ずつ出てくる気持ちのいいUI、用意されたテンプレート、アカウントを作ればすぐ作れる手軽さ。サーバーの保守もアップデートもこちらでやることはありません。とりあえず形にする速さで言えば、自前で組むより圧倒的に速いです。
それでも乗り換えを検討する人が出てくるのは、運用が続いた先で次のような引っかかりが出てくるからです。
- 回答数が増えると上限に当たりやすく、料金が従量・月額で積み上がりやすい
- フォーム自体は別ドメイン側にあり、自社サイトには外部埋め込みになる
- 日本語まわり(UIや細かい文言、表示の感触)が、海外SaaSゆえに完全に手になじむとは限らない
- 回答データが外部サービス側に貯まる
特に料金は、最新のプラン内容や金額が変動するので、ここで具体的な数字を断定するのは避けます。 ただ傾向として、無料や安いプランには回答数の上限が設定されやすく、回答が伸びるほど上位プランへ移らざるを得なくなりがちです。実際の条件は必ず公式の料金ページで確認してください。
「毎月のSaaS費用」と「自社サイトに診断を持つこと」を天秤にかけ始めたら、それが乗り換えを考えるタイミングです。
WordPress側に持つと、何が変わるか
一番大きいのは、診断が自分のサイトの中で完結することです。 外部サービスへの埋め込みではなく、自社のドメイン・自社のデザインのページとして診断が動きます。前後の文章やボタンと地続きになるので、LPや記事の流れを途切れさせずに診断へ入れます。
診断シミュレーションProの場合、設置はショートコード1行か、ブロックエディタの「診断シミュレーション」ブロックです。 設問セットを作るとIDが振られるので、固定ページや投稿に次の1行を貼るだけで設置できます。
[mqs_simulator id="設問セットID"]
id には自分で作った設問セットのIDを入れます。テンプレートやACFなど本文以外の場所から呼ぶときだけ、設定の「アセット強制読み込み」をオンにしておくと表示が安定します。
UIも結果コンテンツも日本語が前提で、結果は通常のブロックエディタで作ります。 つまり画像・ボタン・見出しはもちろん、Contact Form 7のフォームも結果の中に組み込めます。海外SaaSの管理画面と格闘せずに、いつものWordPressの感覚で作れるのは地味に効きます。
回答データが自社の中に貯まる、という安心
意外と見落とされがちですが、データの置き場所も乗り換えの動機になります。
診断シミュレーションProは、回答の計測をWordPressに蓄積します。外部の解析ツールを別途つなぐ必要はありません。 計測しているのは開始数・完了数・完了率・平均所要時間・設問別の離脱率・結果の表示分布で、これらはセッション単位で記録され、個人情報は保存しません。設置ページ別の絞り込みや、前の期間との比較もできます。
ログの保持期間は1〜365日で、既定は90日。超えた分はcronで自動的に消えます。
外部SaaSに回答が溜まっていく状態と比べると、「自社サイトに、個人情報なしで集計データだけが残る」という形は、運用上の気持ちよさが違います。改善のために数字を見たいけれど、個人情報の扱いはできるだけ抱えたくない、という現場には合いやすいです。
条件分岐の作り方が、SaaSとは少し違う
ここはTypeformから移る人がいちばん「考え方が違うな」と感じる部分なので、先に整理しておきます。
よくあるツールは「この選択肢を選んだらこの結果へ飛ばす」と線を引いていきます。 診断シミュレーションProは線を引きません。代わりに、それぞれの結果コンテンツが「自分を表示する条件」を持ちます。この仕組みを回答マトリクスと呼びます。
判定はシンプルです。
- 結果ごとに「どの設問でどの選択肢が選ばれたら表示するか」を設定する
- 設定した条件をすべて満たしたとき(AND)にその結果が出る
- 条件に入れていない設問は「不問」=判定に影響しない
- 条件を満たす結果が複数あれば、そのまま全部表示される(該当件数も出ます)
たとえば3問のスキンケア診断(Q1肌悩み・Q2ケア時間・Q3予算)で、「敏感肌向け」の結果はQ1だけを条件にすればよく、Q2とQ3は不問にできます。この組み方だと、1人の回答に当てはまる結果が複数あればまとめて見せられます。
最初はこの「結果側が条件を持つ」発想に戸惑うかもしれませんが、慣れると設問や結果が増えても破綻しにくいです。 しかも選択肢には安定したIDが自動で振られるので、後から設問や選択肢を並べ替えても、設定済みの条件はそのまま生きます。「順番を直したら分岐がズレた」が起きにくいのは、長く運用するうえで効いてきます。
ライセンスとデータ移行の感覚
料金の考え方もSaaSとは別物です。 診断シミュレーションProのライセンスは1サイト単位でのアクティベートで、回答数で課金が増えていくものではありません。買い切りに近い運用イメージで考えられます(自動アップデートには有効なライセンスが必要です)。
検証用サイトで作って本番へ移す、といった移行もしやすくなっています。 設問セットはJSONでエクスポート/インポートできるので、別のサイトへ持っていけます。複製機能でテンプレート化して量産することもできます。
ライセンスを解除しても設問データは消えません。データが消えるのはアンインストール時だけで、それも完全削除をオン/オフで選べます。 「移し替えたらデータが飛んだ」という事故が起きにくい設計になっているので、サイト構成を後から変えても慌てずに済みます。
乗り換えで先に決めておくと楽なこと
スムーズに見えるかもしれませんが、移行にはいくつか手間があります。
まず、Typeformの1問ずつ出る独特のUXに慣れている読者がいる場合、見た目や操作感が変わることは想定しておいたほうがいいです。 診断シミュレーションProはカラープリセットや進捗バー、文言を管理画面で調整できますが、SaaSのテンプレートをそのまま持ってこられるわけではないので、デザインの当て込みは最初に少し時間を取ったほうが安心です。
それから、設問は最初から盛り込みすぎないこと。 3〜5問くらいから始めるのが現実的で、特にスマホ流入が多いLPでは、長い診断は途中離脱が増えやすいです。完了率や設問別の離脱率はダッシュボードで見られるので、公開してから数字を見て削っていくほうがうまくいきます。
結果側では、どの条件にも当てはまらない人用の共通結果を1つ用意しておくのを忘れがちです。条件を細かくしすぎると、最後まで答えたのに表示される結果がない、という空振りが起きます。これがいちばん離脱されるパターンなので、保険として1件置いておくと安心です。
動作環境
導入の前提として、診断シミュレーションProはWordPress 6.0以上、PHP 7.4以上で動きます。 結果コンテンツの中でContact Form 7を使う場合は連携を有効化しなくても表示・送信できますが、CF7自体は6.0以上が必要で、CF7 6.xはWordPress 6.7以上を要求します。問い合わせフォームまで結果に組み込みたいなら、ここのバージョンは先に確認しておくと詰まりません。
乗り換えが向く人、SaaSのままが向く人
整理すると、WordPress側へ移すのが向くのはこういうケースです。
- すでにWordPressでサイトを運用していて、診断を自社ドメイン・自社デザインで完結させたい
- 回答数が増えて、月額・従量のコストが気になってきた
- 日本語UIで、いつものブロックエディタの感覚で結果まで作りたい
- 回答の集計を、個人情報を抱えずに自社側で持ちたい
逆に、次のような人はSaaSのままのほうが幸せです。
- とにかく手軽さ最優先で、今すぐ最小手数で公開したい
- そもそもWordPressを使っていない
- サーバーやプラグインの保守を一切したくない(保守不要はSaaSの大きな利点です)
- Typeformならではの1問ずつのUXや完成度の高いテンプレートが、その施策の肝になっている
金額をその場で四則演算する本格的なライブ計算機や、CRM主体の大規模な運用も、この仕組みの守備範囲ではありません。そこは正直に、別の手段を検討したほうがいいです。
まとめ
Typeformの代わりにWordPressで診断を作ること自体は、十分に現実的な選択肢です。 鍵になるのは、診断を外部サービスに置くのか、自社サイトの中に持つのか、という違いです。
すでにWordPressを使っていて、コストや日本語、自社サイトとの統合が気になっているなら、診断シミュレーションProのように自社ドメインで完結し、回答の集計まで本体で持てる作りは相性が良いです。回答マトリクスで結果ごとに条件を持たせられ、安定IDで並べ替えにも強く、JSONで移行もできます。
一方で、手軽さや保守不要を最優先するならSaaSのままが正解です。 自分がどちらに当てはまるかを見極めてから、まずは小さく作って公開し、完了率や離脱を見ながら育てていくのがおすすめです。診断シミュレーションProの詳しい機能は製品ページで確認できます。
